2024年12月06日
プラカルは職場のデジタルシフトを実現するためのプラットフォームとして開発しました。現在提供しているプラカル「スタンダード版」は職場全体というより、チームで働く現場のワークマネジメントプラットフォームとしての機能を備えています。
2020年からのコロナ禍対応という急激な環境変化もあり、インターネットやスマートフォンといったデジタル技術とまったく無縁の職場はほとんど見かけなくなりました。それどころか、一見してデジタル技術と関係なさそうな仕事でも、実はデジタルの競争力によって勝敗が決まるという事例が顕著になりつつあります。
江戸時代、学ぶべき基本的スキルを「読み・書き・そろばん」としていたことがありました。平成になり、社会で必須の基本的スキルは例えば「英語・プレゼンテーション・コンピュータ」など、さまざまに変化しました。では、コロナ後のデジタルシフトした世界ではどのようなスキルが必須になるのでしょうか?
デジタル技術は常に進歩しますから20年後のことは分かりませんが、少なくとも現時点で特に重要なのが、AI(人工知能)、ビッグデータ分析、そしてクラウドコンピューティング(クラウドサービス×モバイル端末)の3スキルです。現時点での「読み・書き・そろばん」とも言えるでしょう。これらの技術は、デジタル社会の基本スキルであり、取得するだけでなく常にアップデートしていくことが求められます。
■AI技術
ここ数年、特に進化が著しいAIは、ビジネスのあらゆる領域で利用されるようになっています。例えば、データ分析や顧客サービスの自動化、商品のパーソナライズ、意思決定プロセスの最適化にAI技術を適用して競争力を高めた事例は枚挙にいとまがありません。
AIスキルを持つことで、組織はよりスマートで効率的な運営が可能になり、より効率的な成長戦略を立案していくこともできるでしょう。
■ビッグデータ分析
ビックデータの分析は、ビジネスのあらゆる分野で重要な意思決定に役立ちます。代表的な例としては、市場動向の理解や顧客行動の予測、リスク管理といった領域での適用が挙げられます。こうしたビジネスで重要な要素を正確なデータの分析に基づいて把握することができれば、次の一手をより迅速かつ効果的に打てるようになるでしょう。
経営者など個人の勘や経験に頼った経営戦略ではなく、データをもとにしたデータドリブンな意思決定を行うことは、より正確で効果的なビジネス戦略を立てることも可能にしてくれます。
■クラウドサービス×モバイル端末
クラウドサービスの利用は、柔軟なリソース管理とコスト効率の向上を実現します。クラウドサービスを活用することで、ITインフラを迅速かつ効果的に拡張・縮小でき、ビジネスのスケーラビリティを高めることができます。これは、限られた予算やリソースでデジタルの世界を実現するためには、非常に有効な戦略です。
「どんな端末からでもアクセスできる」クラウドサービスと、「どこへでも持ち出せる」モバイル端末を組み合わせることは、より機動力が高く場所や時間に制限されないビジネス環境の構築を実現します。
デジタルの時代において、個々人が自らのキャリアパスを見つめなおし、将来性の高い分野に挑戦していくことは、そのひと個人の成長に繋がるだけでなく、組織全体の競争力を高めるためにも必要な取り組みです。
個人のキャリア開発とは、単に新しい知識や技能を身に着けるスキルアップだけを指すわけではありません。従業員が自らの意思で自己成長していく機会でもあります。積極的に自己成長をしようと努力する従業員を後押しすることは、結果的にその組織の成長にも繋がっていきます。
つまり、キャリア開発とは、従業員の個人的な努力だけで成り立つものでもなく、組織側の命令で取り組むものでもありません。個人と組織の双方が積極的にキャリア開発へと取り組むことがポイントなのです。キャリア開発戦略の核となる要素について述べます。
■従業員自身のキャリアアップへの意思
競争が活発化している現代社会においては従業員1人ひとりが、成長していく意思を持つことは重要です。単純なルーティンワークの大部分がデジタルテクノロジーによって代替可能な時代に生きるビジネスパーソンは、その技術を使いこなし、「人」にしかできない仕事で成果を発揮することが求められます。
ある意味では、技術の進歩や市場のニーズに対応するため、現在の業務や業界の将来性を理解して、その変化に適応していくことは現代のビジネスパーソンの責務と言えるでしょう。
世の中が高度にデジタル化され、あらゆる業界でDXへの取り組みが必要とされるデジタル社会では、自身が所属する業界や職種への関心を高め、より積極的に自身のキャリアアップに組み込むことが求められるのです。
■ハードスキルとソフトスキルの両立
職場のデジタルシフトに対応するには、ITツールを使いこなしたりデータ分析を行ったりというハードスキルだけでなく、プロジェクトやタスクの管理、戦略の立案、問題解決などソフトスキルの向上も求められます。ソフトスキルとは、仕事をする上での土台となる個人の性格や特性とも深く関係する「行動に関わるスキル」であり、数値など明確な基準で評価しにくいものです。履歴書や職務経歴書には反映させにくいですが、仕事をする上で不可欠なスキルでもあります。
ハードスキルとソフトスキルをバランスよく両立しているビジネスパーソンは、どんな業界においても求められる優秀な人材であり、組織の成長を牽引するキーパーソンとなってくれる可能性がある人材です。基本的には、すべての従業員がハードスキルとソフトスキルの両立を目指すべきでしょう。そのための機会を用意することは、組織としても直接的な利益に繋がる戦略です。
■柔軟なキャリア形成
デジタル時代においては、従来のキャリアパスの考え方が通用しない場合も少なくありません。デジタル社会の中では求められるテクノロジーは常に変化を続けており、社会情勢の変化に伴って求められるスキルも常に変化します。
例えば、生成AIの深化と利用の拡大によっていくつかの職業がなくなると考えられているように、組織内で今後必要とされるスキルも変わり続けていくでしょう。そのため、従業員は自分のキャリアパスを柔軟に考え、必要に応じてリスキリングやアップスキリングを通じて新たな業務分野に挑戦していく、柔軟なキャリア形成が求められます。
■組織側の従業員サポート体制
組織は従業員のキャリア開発を支援するために、研修プログラムやキャリアパスの多様化、メンタリングシステムの提供などを通じて、従業員のスキルアップとキャリア形成を後押しする必要があります。従業員の成長はその組織の成長に繋がり、組織の利益は従業員の利益に繋がるということはビジネスの基本的な構造です。
「従業員」という財産を育てることは重要なビジネス戦略の基本であり、そのためのサポート体制を構築することは、デジタル時代に組織が持続可能な成長を続けるための最重要ミッションなのです。
デジタル時代の進展に伴い、「リスキリング」と「アップスキリング」が従業員のキャリア開発において中心的な役割を果たすことになります。実はもうひとつ「リカレント教育」と呼ばれるキャリア開発もありますが、これは一旦職場を離れて大学や教育機関で学び直す意味合いが強いので、本コラムの対象外とします。
デジタルシフトした職場におけるリスキリングとアップスキリングは、従業員にとっては新たなキャリアの可能性を開き、その組織にとっては競争力の強化という双方にメリットをもたらす重要な要素です。リスキリングとアップスキリングの本質やその学習方法に関して記述します。
■リスキリング
リスキリングとは、従業員が全く新しい技術や職種へ移行するための学習プロセスです。デジタル社会の技術革新やビジネスモデルの変化に対応するために、ITなどに関する新しい知識やスキルを学んでいくことを指しています。
リスキリングを通じて、従業員はデジタル化の進む市場で活躍できる能力を獲得し、新たなキャリアチャンスを掴むことができるでしょう。新たなキャリアというのは、これまでと異なる仕事という意味です。例えば、営業職や保守サービス技術職からデータ分析やプログラミングなどのIT関連職への転身がこれに該当します。
これまで真面目にその組織を支えてくれていた従業員であっても、デジタル技術の目覚ましい発展により、既存業務の一部がAIなどに代替されてしまう可能性は決して少なくありません。しかし、企業に帰属意識を持ち、ソフトスキルも身に着けた従業員は貴重です。こうした人材にリスキリングの機会を提供することができれば、また新たな分野でその力を発揮してもらうことができるため、組織にとってもメリットのある施策となります。
経済産業省が「リスキリングを通じたキャリアアップ支援事業」[1]を実施しており、国としてもこのリスキリングを推進していることがわかります。
■アップスキリング
アップスキリングとは、現在の職種内でのスキルセットを強化・拡張し、より高度な業務に対応できるようにするプロセスです。リスキリングのようにこれまでと異なる仕事を前提としてるわけではなく、今の仕事が前提です。例えば、プログラマーが最新のプログラミング言語や開発手法を習得することが挙げられます。
先にも述べたように、社会情勢やテクノロジーの急速な変化は、今ある最新の技術をすぐに古いものへと追いやってしまいます。そのため、常に従業員にはアップスキリングが求められ、組織はそのサポートをしていくべきなのです。
■学習の方法
通常はその組織が、オンラインコース、社内研修、ワークショップ、メンタリングプログラムなどの学習オプションを提供することで、従業員のリスキリングとアップスキリングを支援できるでしょう。
ただし、リスキリングやアップスキリングのための継続的な学習環境を整えることが、すべての従業員にとってポジティブな取り組みになるとは限りません。人によっては、こうした挑戦に対して前向きになれない場合もあります。トップダウンでリスキリングやアップスキリングを推し進めることは、従業員にとって精神的な苦痛を伴う取り組みになってしまう可能性すらあります。
そのため、まずはリスキリングとアップスキリングの重要性を従業員に認識させ、そのための学習が必要なことを理解してもらう必要があるでしょう。また、必要に応じて、学習の成果を評価し、適切な報酬やキャリアアップの機会を提供することは、従業員のモチベーション管理の上でも重要な戦略となるでしょう。
デジタル時代の必須スキル習得のためには、効果的なトレーニングプログラムと学習ツールの活用がカギとなります。ここでは、トレーニングプログラムとツール例を紹介しつつ、従業員のデジタルスキル向上を支援する方法を解説します。
■オンライン学習プラットフォーム
近年、オンライン学習プラットフォームはさまざまな組織で従業員教育に広く使われています。プラットフォーム提供社によっては、データサイエンス、プログラミング、AI等の多岐にわたるコースを提供しており、従業員が自分のペースで学習できる環境を提供してくれます。
■内部の研修プログラム
特定のスキルや技術に特化した研修プログラムを、組織内部で独自開発することもあるでしょう。例えば、データ分析やクラウド技術に関するワークショップやセミナーを組織内部で定期的に開催し、実践的なスキルを従業員に提供することが考えられます。
こうような場合には、外部の専門講師やコンサルタントに依頼することで、より質の高い研修プログラムを提供することができるでしょう。
■メンタリングとコーチング
スキルの獲得にはメンタル的な要素も重要です。メンタリングも、新しいデジタルスキル向上のためには避けて通ることのできないプロセスとも言えます。どの業種の組織でもよく見かける光景は、先輩従業員とマンツーマンでスキル獲得を支援するコーチングです。リスキリングやアップスキリングにも有効であることは間違いありません。
プラカルにはこのコーチングに役立つコミュニケーションや目標共有のためのさまざまな工夫が実装されており、リスキリング、アップスキリングが目的のコーチングへの適用が可能です。
■ゲーミフィケーションとインタラクティブ学習
ゲーミフィケーションとは、学習をゲームのように楽しむことができるアプローチです。シミュレーションやインタラクティブな学習ツールを使い、実際のビジネスシナリオを模擬体験させることで、楽しみながら学習効果を高めることができます。
こうした取り組みは、特にスキル獲得やチームビルディングのサポートのためには、非常に高い効果を発揮してくれるでしょう。
[1] https://careerup.reskilling.go.jp/
データ・アプリケーション Placulマーケティングチーム |
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経歴・実績 株式会社データ・アプリケーションは、日本を代表するEDIソフトウェアメーカーです。設立は1982年、以来EDIのリーディングカンパニーとして、企業間の取引を円滑に効率化するソリューションを提供しています。1991年からは日本の標準EDIの開発やSCM普及にも携わっており、日本のEDI/SCM発展に寄与してきました。現在は、EDI/SCM分野のみならず、企業が所有していデータの活用についてもビジネススコープを広げています。ハブとなるデータ基盤提供を始めとして、さまざまな角度から幅広く研究・分析を行っており、その提言を通じて企業のDX推進を後押ししています。 |