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内藤大介(NP開発室)

開発者インタビュー

2024年11月22日

新規事業の開発担当として

データ・アプリケーションは将来に向けて、データ連携領域以外でも新しい事業の創出に挑んでいます。そのミッションを担うNP開発室が、新事業第一弾としてワークマネジメントプラットフォーム「Placul(プラカル)」のサービスをスタートしました。

プラカルの開発における内藤さんの役割または担当領域を教えてください。

プラカルという製品(クラウドサービス)のプロダクトマネジャーと、開発プロジェクトのマネジメントをやりながらプログラム開発もやっています。プラカルの方向性を決めながら、開発体制のリソース配分などを管理し、自分自身が開発の一部を担っています。

プロダクトマネジャーとして特に重要だと思っているのは、プラカルの方向性や機能の検討する仕事や、ユーザーインタビュー等の検証、ユーザー要望の対応検討です。開発プロジェクトのマネジメントとして重要なのは、ユーザーが直接触る機能の検討です。どのタイミングで何を実装するかといった開発ロードマップの検討と開発状況の把握も私が担当しています。

自分たちが使いたいと思うものを創ったのがプラカルだと聞いています。これまで使ってきたサービスやツールには、どういった不満があったのでしょうか。

リモートワークがここまで普及する以前から、コラボレーションツールに分類されるさまざまなクラウドサービスを使っていました。プラカルを設計するにあたり、私自身がビジネスチャットやタスク管理分野で利用した著名なツールで感じたことは以下の通りです。

■Microsoft TeamsとPlanner

コロナ禍以降、社内外とTeamsでビジネスチャットすることが増えました。Teamsによるコミュニケーション量が増えると、未読・既読を間違えやすくなります。例えば、電子メールだと未読・既読はほとんど間違いなく管理することができます。ところがTeamsではそれがないため、見落としが発生してしまっていました。

さらにTeamsは、その時に働いていた人には情報が共有されますが、構造化されていないのであとから知らない人情報を探そうとするのが困難であることもなんとかならないかと思っていました。

プラカルは、業務タスクとチャットのやり取りが紐づくことがひとつの特長です。実はTeams と Plannerによるコミュニケーションとタスクの連携を利用してみたのですが、難しかったです。Teamsは複数チャネルに分かれてPlannerのタスクを作ることになるため、マルチプロジェクトのような形でのタスクマネジメントがやりやすい必要があります。しかし、そのようなことを円滑に行う仕組みがありませんでした。

■Backlog

シンプルな操作性と親しみやすい見た目で、誰でも直感的に使えるプロジェクト管理・タスク管理ツール「Backlog」もユーザーとして利用しています。Backlogの場合、シンプルな1プロジェクトに限定するような使い方にはとても威力を発揮すると思います。ところが、私たちの実際の業務では複数プロジェクトにまたがって働くことが多く、複数プロジェクトを扱うと極端に扱いづらくなる点がなんとかならないかと感じました。

また、管理の対象がプロジェクトほど大きくなく、日常的に発生する業務タスクまで対応してタスク管理するには向いていない気がします。

■Chatwork

Chatworkは導入企業59万社という国内利用者数No.1のビジネスチャットです。Teamsと併用してこれも利用していました。やはりTeamsと同じく構造化されていないことによる不満はありました。

ChatworkがTeamsと異なるのは、タスク管理機能が最初からついていることです。とはいえ、ビジネスチャットがメインですから、少し複雑な業務でタスク管理をやろうとすると途端に難しくなります。そうなると、せっかくタスク管理機能がついていても別のタスク管理ツールを併用することになってしまいます。

■タスク管理・プロジェクト管理ツール

TeamsもChatworkも、主目的はチャット機能の提供ですから、タスク管理やプロジェクト管理はあまり本格的ではなく、あくまで脇役的に実装されているように感じました。そこで、Backlogをはじめとした著名なタスク管理・プロジェクト管理ツールを利用していました。

利用してみると、どのタスク管理ツールも、利用の出発点が「やることをタスクとして書き出す」であることに気付きました。タスクが始まる前の計画策定や、それ以前に考えをまとめる工程があるはずですが、ここは別ツールで行う必要がありました。職務によっては、実際の業務には「考え事をする・計画をする」も含まれていて、しかもここには非常に大事な情報を含むため、タスクを書き出す前工程を扱えるツールがあると理想的だと思いました。

その他大事なこととして、タスク管理・プロジェクト管理ツールは、管理者が管理するためのものという点がとても気になりました。チームメンバーがタスクをうまく運用するためとか、チームに根付かせるためというところに力を入れているツールが少ないのです。ユーザー目線では、自分が管理されるために嫌々使わされているということになってしまうと、結局運用コストが高くなりやすいと考えます。

なお、ビジネスチャットツールには脇役としてタスク管理がついていましたが、タスク管理ツールでは、タスクを通して他部門を含めたコミュニケーションをリアルタイムで行うツールが少ないことにも気づきました。もちろん、高価な海外製プロジェクト管理ツールにはタスク管理やチャットなどのコミュニケーションの両方で機能満載のものもあります。

■Asana

このインタビュー時点で、プラカルと考え方が最も近いのはAsanaだと思います。社内でのチーム運用はしていませんがが、個人として利用経験があり、良いツールだと感じました。Asanaは、プロジェクト単位と個人のタスクをどちらも扱える珍しいツールで有用性は高いと思います。

プラカルの開発にあたって、内藤さんが参考にした技術やサービス、他社製品などがあれば教えてください。

実は職務としてIT業界の新しい技術を調査し、社内のさまざまな製品開発に役立つ先端的な情報をまとめる仕事をしていたことがあります。ですから、参考にした技術やサービスは多岐にわたります。例えば、複数ユーザーでリアルタイムにも使えるし、個人でも使えることを実現するために「Google ドキュメント」を参考にしています。プラカルのノート機能で非同期更新を実現するために「CRDT(Conflict-free Replicated Data Type)」を参考にしています。

前述の通り、私はプロダクトマネジャーの職務も担っていますから、プラカルで実装する各機能をすでに実現している製品やサービスは、いろいろ調べて参考にしています。

タスク管理・プロジェクト管理の分野では、前述のAsana をはじめ、ClickUp、Redmine、Backlog、Trello、Jiraを参考にしています、特にAsanaは、プロジェクト管理ベースで、社内のコミュニケーションをメールから置き換えるツールという視点でみています。

ホワイトボードツールの分野では、Miro、FigJam、マインドマップ系ツールでは、MindMeisterなど、アウトライナー系ツールでは、Dynalist、Workflowyといったところです。

Wiki系ノートの分野では、Notion、Cosense(旧 Scrapbox)、Evernoteを参考にしており、ビジネスチャットとしては前述したMicrosoft Teams、Chatworkに加え、もちろんSlackも参考にしています。

ここまではビジネス用ツールでしたが、個人用ツールとして、ナレッジベースのObsidian、ToDoリストのRemember The Milkも参考にしています。

プラカルの開発にあたり、これまでになかった新しいチャレンジがあったと思います。内藤さん自身が挑戦したかったもの、または、挑戦してみて良かったと思うものを教えてください。

ものづくりと人に喜んでもらうことが好きなので、自社で開発できる新規事業に挑戦してみたかったです。プラカルの企画から開発を経て、新規事業としてこれまでになかったサービスをリリースできました。

また、今までの製品開発では顧客接点が少なかったため、その接点を増やすことにこれから挑戦します。さらに、プラカルのようなクラウドサービスを作った経験がなかったため、今後の安定的なサービス運用も新たな挑戦になります。

ここまで挑戦してみてよかったものを考えると、知らない技術を使って開発していくことも良かったことではありますが、一番はみんなで協力しながら1つのプロダクトを作り、ユーザーに喜んでもらう活動そのものですかね。まだユーザーに喜んでもらう状態にまでなっていないのもあり、その前段階でチーム一丸となって開発や検証をすること自体が大きな経験になっていると思います。

プラカルのユーザーとして

内藤さん自身もプラカルのユーザーのひとりです。実際に開発チームでのワークマネジメントのプラットフォームとして使ってみて、プラカルの3つの特長について、導入効果はいかがだったでしょうか。プラカルを利用する前と利用後の決定的な違いや、チーム生産性の観点など、多面的に教えてください。

最初に、日常の業務タスクと目標を紐付けて一括管理する機能の効果はいかがですか。

プラカルでは個人目標とチーム目標の両方を設定できます。

まず、個人から見たタスク・目標一括管理についてですが、定期的に目標を運用する仕組みがあるため、目標を見失わないという効果が発揮できています。目標は負担にならない程度の運用を継続することによる効果は高いように思います。運用数と10段階で自信度を数値化するため、いい意味で誤魔化しがきかずに緊張感をもって仕事ができます。

次に、チームやプロジェクト等からみたタスク・目標一括管理です。目標の状況が数値化されているので、状態の確認が非常に楽になりました。数値が低ければ対処が必要、そうでなければ対処が不要といった判断が直感的にできます。ある程度担当者に任せてしまってもよい場合に、目標でマネジメントできるとタスクレベルでの把握が不要になるのは非常に嬉しいです。

次に、重要度に合わせた2種類の通知機能の効果はいかがでしょうか。

朝はすべての通知をチェックする、忙しい時はメンションだけチェックするという形で、自分の状況で優先順位をつけて今見るかを判断できるのが非常に嬉しいです。

重要度が分かれていることで、観察の通知はリラックスして見ればよい、メンションの通知は注意して見る必要があるなど、心構えも変えられるので通知疲れになりにくくなっています。

特に観察の通知がある要素(タスクや目標)に対して1つで複数の変更点を含むという形で見えるのが通知の数の削減につながっていることや、1つにまとめられることで分かりやすさの向上にもつながっています。

最後に、タスクごとにノート機能が搭載されていますが、この効果はいかがでしょうか。

今まではタスクの内容を書き出すためにGoogleドキュメント等を必ず作成する必要があり、このドキュメントをどこに配置するか、誰に共有するかを決める小さなストレスがありました。タスクとセットでノートが作れるため、タスクを作ればある程度の内容はノートで完結でき、先ほどのストレスがなくなっています。当然Googleドキュメントやスプレッドシートを使うほうが良いケースはありますが、それらを使うときには重要なものが多いため、配置や共有についてはしっかり考えるほうが良いためストレスには感じにくいです。

また、ノートはアウトラインが見やすくチェックリストや期限の設定が可能なため、何かを調査する・ある程度のプロセスや複数人でタスクを遂行するときに非常に便利です。ある程度のボリュームの作業をノートに記載して依頼したことがありますが、問題なくスムーズにそれらが完了しました。プロセスを自由度高く表現できることで依頼内容の認識のずれもかなり抑えられたのではないかと思います。

開発チームに所属するエンジニア以外で、プラカルのようなワークマネジメントプラットフォームを必要とする職種にはどのようなものがありそうですか。

概ね3人以上で、主にPCで業務を遂行するのであれば、どのような職種でも有効性は高いと思います。

具体的には、弊社でもプラカルを利用しているカスタマーサポートが典型的です。営業活動に近い組織では、マーケティングやインサイドセールスは数値目標が明確で、しかも同時に複数の業務タスクが走るため、プラカルをうまく使って自己成長につなげていただきたい職種です。

バックオフィスの組織でご利用いただくとしたら、定型業務ばかりの職種より、定期的にプロジェクトタイプのお仕事が入り、チームで対応するような職種に従事される皆さんには有用だと考えています。

この記事の執筆者
データ・アプリケーション
Placulマーケティングチーム
経歴・実績
株式会社データ・アプリケーションは、日本を代表するEDIソフトウェアメーカーです。設立は1982年、以来EDIのリーディングカンパニーとして、企業間の取引を円滑に効率化するソリューションを提供しています。1991年からは日本の標準EDIの開発やSCM普及にも携わっており、日本のEDI/SCM発展に寄与してきました。現在は、EDI/SCM分野のみならず、企業が所有していデータの活用についてもビジネススコープを広げています。ハブとなるデータ基盤提供を始めとして、さまざまな角度から幅広く研究・分析を行っており、その提言を通じて企業のDX推進を後押ししています。

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