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業務の属人化の原因と解決策について

業務改善

2024年08月15日

リモートワークで露呈した「業務の属人化」のリスク

プラカルが誕生した背景には、2020年の新型コロナウィルスの感染拡大に伴うリモートワークの急激な普及がありました。リモートワークの普及によって組織内のさまざまな課題が露呈しましたが、そのひとつが「業務の属人化」です。

「業務の属人化」とは、ある特定の従業員だけが業務を担当することにより、いざその当人が業務を離れた際、その内容や進め方がわかる人がいない状態のことです。実は、リモートワーク以前から、組織が業務における生産性の向上や効率化を図るにあたって、問題視されている課題のひとつでした。属人化が浸透してしまうと、担当している人が急に病気になったり退職したりしたときに、誰も業務の内容や進捗を理解していないという状態になり、あらゆるケースにおいて支障が起きてしまいます。

リモートワーク以前から言われていたことは、この業務の属人化を避けるためには、組織として業務の責任分散を進めると同時に、「業務標準化」や「マニュアル化」といった業務の可視化を進めるということ。業務標準化を進める中で、マニュアルがきちんと整備され、誰もが業務を知ることができ、業務に対して一定の知識を持って取り組めることが理想であるということです。業務標準化により業務フローをきちんと明確にし、取り組む手順等を統一することで、誰もが効率的に質の高い業務をおこなうことができるというわけです。

ただし、全ての業務が標準化やマニュアル化に向いているとは限りません。例えば、極めて専門性の高いスキルが必要な業務とか、業務フローの途中で、過去の経験から非定型的な決定をしないと前に進めない業務などは、そもそも標準化が難しいといえるでしょう。

業務属人化のリスクはさまざま

業務の属人化のリスクについて、あらためて考えてみましょう。

まず、特定の従業員が多くの業務を抱えることになってしまうため、その担当者の働きぶりによって組織や会社全体の業務が停滞する恐れがあります。すごく仕事ができる人なのに、全体から見ると「ボトルネック」的な存在になってしまいます。なんとか業務の停滞を防ごうと、その担当者が必死に働くと、結果的に担当者の長時間労働を招きかねません。これではまずいということで、担当者に無理やり休暇を取得させると、今度はその業務の品質がうんと落ちる可能性が高まります。何ひとつ良いことがないでのす。

次に考えられるリスクは、属人化した業務をこなせる従業員がいなくなった突端、知識や技術、ノウハウが一気に失われる可能性があるということです。こういった話は、職人の世界ではよく聞きますが、一般の業務でも同じです。特定の業務を一人でこなし続けてしまい、その業務のコツなどを書いたメモやノートもなく、時間を取って他の従業員を育成しない環境であれば、間違いなく組織としてスキルやノウハウが継承されず、いずれはすべて失われてしまいます。

最後に、業務のブラックボックス化のリスクを挙げておきましょう。ブラックボックス化とは、「黒い箱の中」で行われているような業務のことを言い、従業員がどのようなプロセスで作業しているかが見えなくなる状態を指します。ブラックボックス化を引き起こす原因のひとつが業務の属人化です。特定の従業員に属人化された業務では、たとえ作業工程に無駄が発生していても誰も気が付きません。それぞれ自分の仕事だけに専念し、従業員同士での連携やフォローも難しくなります。

ブラックボックス化された場合、誰もプロセスをチェックできませんから、まずはミスを発見しにくいという現象が起きるはずです。他人がチェックできない環境であるということは、重大な不正がおこなわれていても発覚が遅れてしまいます。組織にひとりしかいない財務部長がお金を横領する事件は枚挙にいとまがありません。

前述の通り、リモートワークの普及によって「業務の属人化」という課題が露呈しました。オフィスワークでは直接コミュニケーションをとって解決できていた労働時間の調整が、各メンバーの進捗を把握しづらいリモートワークでは難しくなります。属人化が進み、業務プロセスが明確でない状態ではなおさら、管理者が必要に応じて無駄な時間を削減したり、業務を振り分けたりすることが困難でしょう。また、業務実態を把握しづらいため、適切な評価ができないという問題も発生しました。

業務の属人化が発生する背景や原因

業務属人化は、間違いなく組織として解決すべき課題です。課題を解決するためには、属人化が発生してしまう背景や原因について理解する必要があります。組織によってさまざまな事情があり、原因も異なりますが、ここではどの組織にもありがちなものを列挙してみます。

■業務を遂行するのに専門知識や高度なスキルが必要なため

専門的な知識や高度な技術・スキルが必要になる業務の場合、属人化が起きやすくなります。その理由は、専門知識技術を短期間で身につけることが難しく、なかなか後進の育成が進まないためです。

特に、臨機応変な対応を求められる業務の場合、手順をマニュアル化することがそもそも困難なため、属人化しやすい傾向があります。結局、このような業務では担当者が継続して対応するため、他の従業員が高度な技術や専門知識を身につける機会がなくなるなど、さらに属人化が起こりやすくなります。

■特定の従業員が多忙であるため

担当者が複数の業務に関わっていたり締め切りやクライアントの対応に忙殺されていたりして、結果的に業務が属人化しているケースが数多くあります。別の人に任せようと思っても、本人が忙しいために業務を引き継ぐ時間が確保できず、結局「自分でやったほうが早い」という状況になってしまうことも珍しくありません。この状態が続くと、担当者が次々と業務を抱え込むという負のスパイラルに陥ってしまいます。

もし、高度な知識や技術を要するなどマニュアル化が難しい業務だった場合、従業員の教育が必須です。教育には時間がかかるため、担当者が多忙で時間が取れないなどの理由で知識と技術の共有が進まなくなります。重要な仕事の担当者は多忙なことが多いため、さらに属人化が進行してしまいます。

■社内で自分バリューを発揮し立場を維持するため

属人化状態にある業務の担当者は、その組織にとって「代えのきかない存在」です。属人化した状態を維持することで、本人の地位が安定するという側面があります。また、担当者はその業務について他の従業員から頼られることが多く、この状態を好むことがあるため、あえて属人化状態にしている場合があります。

自分の知識やノウハウのマニュアルを作成し、研修で他の社員に上手に教えたとしても、それが個人個人の評価に直接つながることはほとんどありません。貴重な時間を割いて取り組んだ割には会社から評価されない上、「自分にしかできない」業務がなくなってしまうのでは、自分にとってデメリットしかない、と思う担当者も多いでしょう。属人化の解決は、組織にとって長期的な利益に結びつくかもしれませんが、それをキチンと評価する仕組みなければ、わざわざ積極的に取り組む人はなかなか増えないでしょう。

業務の属人化を解決するといわれる方法4例

業務の属人化は、上記で述べた原因や背景に対処することで解決を図ることができます。ここでは、属人化をする解決方法を4例紹介します。この例以外にもさまざまな方法がありますが。

■業務の責任分散の実施

属人化状態にある業務では、全責任が特定の従業員に集中していることがあります。そのため、業務の責任を複数の従業員に分散させることが属人化解消に効果的です。複数の従業員が責任・権限を持つことで、担当者が不在でも代わりに対応できるため、業務をスムーズに進行できます。また、業務すべての権限を与えるのではなく範囲を限定し、特定の担当者のみで取引を完結できなくすることで、属人化の解消は可能です。

他にも、休暇制度を設けるなど担当者が一定期間不在になる状態にして、その期間は別の従業員に任せることで責任を分散させる方法があります。業務の責任の分散と同時に引き継ぎが必要になるため、情報の共有にも役立ちます。

■業務の可視化と情報共有

業務が属人化すると、進捗状況が担当者以外誰も分からなくなることがあります。この状況では、担当者が不在になると業務が停止してしまうことが問題です。そのため、進捗状況を可視化することで、業務内容を関係者全員で把握する必要があります。典型的な可視化は、マニュアル化や業務フロー図によって実現できます。タスク管理システムのようなものでも良いでしょう。

属人化を解消することで情報が共有できるので、優秀な従業員のノウハウが共有可能になり、組織全体のレベルアップにもつながります。高度なスキルを持つ従業員が、ちょっとしたコツを書き溜め、メモとして可視化し、それを共有するだけでも属人化解消は進みます。

■仕組みの簡素化

属人化は、誰でも対応可能な単純な業務では発生しません。担当者でないと分からない複雑な手順や、どこにも記載のない判断基準が業務フローに存在すると属人化が起きます。逆にいえば、業務を簡素化して単純な仕組みにすることで、属人化を解消できてしまいます。複雑な業務から必須ではない作業を除外し、業務フローをシンプルな手順のみで構築するようにしましょう。

業務には多くのツールを使うケースがありますが、機能をシンプルにし使用する数を減らすことで属人化の解消につながります。また、業務を簡素化することでマニュアルの作成が容易になり、より属人化の解消がしやすくなります。

■業務マニュアルの作成

属人化の解消のためには、業務マニュアルの作成が必要です。マニュアルはどの従業員が対応しても、一定の品質を確保できるように作成されます。そのためにもマニュアルは、業務の知識がない従業員でも理解できる内容にします。

最初から完璧なマニュアルを作ろうとすると挫折してしまうため、まずは簡単に業務の流れを書いたものを作成し、運用しながら徐々にブラッシュアップしていくとよいでしょう。担当者が忙しい場合、通常業務と並行してマニュアルを作成するのはなかなか難しいことです。そのような状態のまま見切り発車で作成を始めても、いつまでたってもマニュアルが完成せずに属人化するという悪循環にもなりかねません。

マニュアルを作成する過程では、従業員が意見を出し合い、内容をブラッシュアップしていく形にしましょう。その従業員間でノウハウが共有されるため、より属人化の解消に役立ちます。

業務標準化のためにはマニュアルの作成が必須ですが、誰が見てもわかりやすいマニュアルを作るのは難易度が高いものです。最初のマニュアルを完成してからも、定期的に社員に意見をヒアリングしながら、適宜マニュアルの内容を見直し、アップデートをかけるようにしましょう。一度設定した内容を更新して効果を検証する、いわゆるPDCAを回していくことが業務標準化のためには非常に重要です。

プラカルの「タスクノート」というアイデア

プラカルではタスク管理機能を提供しており、業務の属人化を解消することが期待できる「責任分散の実施」、「可視化」、「情報共有」の3つをIT基盤として支援することができます。

さらに、プラカルのタスク管理のユニークな点は、タスクに「タスクノート」を追加できることです。タスクノートは、ユーザーの持つ知識やノウハウ、ちょっとしたコツから思いついたアイデアまで、何でも書いておくことができます。タスクノートは、入力時のフォーマットに囚われず、アイデアや手順などの情報を手軽に記録できることを目指し、箇条書きでの入力としました。形式を意識せず、自分なりの「可視化」をするためのフリースペースという使い方ができます。

また、タスクノートの箇条書きは、チェックリスト化することも可能です。チェックリスト化すると担当や期日などを設定できるようになります。これにより、ToDoリストや子タスクとしての使用も可能となります。

この記事の執筆者
データ・アプリケーション
Placulマーケティングチーム
経歴・実績
株式会社データ・アプリケーションは、日本を代表するEDIソフトウェアメーカーです。設立は1982年、以来EDIのリーディングカンパニーとして、企業間の取引を円滑に効率化するソリューションを提供しています。1991年からは日本の標準EDIの開発やSCM普及にも携わっており、日本のEDI/SCM発展に寄与してきました。現在は、EDI/SCM分野のみならず、企業が所有していデータの活用についてもビジネススコープを広げています。ハブとなるデータ基盤提供を始めとして、さまざまな角度から幅広く研究・分析を行っており、その提言を通じて企業のDX推進を後押ししています。

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