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DXと業務改善とBPRは同じものなのか

デジタルワーク

2024年07月31日

1990年代中頃に登場したBPRという言葉

プラカルが誕生した背景には、リモートワークの普及によって露呈した組織内のさまざまな課題を解決したいという想いがあります。その課題には、組織としての生産性や収益性に関連するものもあれば、個人の成長や従業員の育成、法的な労務問題、お客様の満足度といったものもあります。リモートワーク以前からくすぶっていた課題が、リモートで仕事するようになった途端に大問題となった例も枚挙にいとまがありません。

リモートワーク以前の課題の背景にあるのは、働き方改革や人工減少による人手不足などによって生じたさまざまな問題が挙げられます。生産年齢人口が少なくなっていく将来、今までと同じ業務プロセスでビジネスを展開していては、業績縮小は避けられません。また、グローバル化の影響で、今後も競争が激化していくことが予想されるため、組織構成や社内制度、業務プロセスの抜本的な改革が求められています。そして、こういった課題の解決として提唱されている考え方が、DXやBPR、業務改善といった手法です。

1990年代中頃、『BPR』という言葉が大ブームとなりました。これは、ビジネスプロセス・リエンジニアリング (Business Process Re-engineering)の略で、このBPRを実現するITシステムとして、今では普通に使われる『ERP』という業務システム基盤が登場したのです。テレビCMでも連呼されるあの「イーアールピー」です。

リエンジニアリングとは、「業務・組織・戦略をゼロから根本的に再構築する手法」です。つまり、BPRとは、業務のプロセスを根本的に見直し、必要な機能だけに絞って業務を徹底的に再設計すること。この考え方は、元マサチューセッツ工科大学教授のマイケル・ハマーらが1993年に出版した著作『リエンジニアリング革命―企業を根本から変える業務革新』により世界的に広まりました。

しかし、実際にリエンジニアリングを実施したのは大企業にとどまり、中小企業の多くは「言葉は知っているけど我々には関係ない」というのが大半でした。

同じ頃、リエンジニアリングと同様に大ブームとなったのは「リストラ」という言葉でした。リストラは事業の再構築という意味で、「業績の悪い部分を削って、業績のよい部門に経営資材を集中させる」という経営改善の手法です。こちらは中小企業や小規模事業者にも受け入れやすかったようで、瞬く間に全国に広がりました。

現実には、業績の悪い部分を削ることばかりが先行し、業績のよい部分に積極的に経営資材を集中させた会社はあまり多くなく、リストラの名のもとに、純粋に人減らしが行われました。

業務改善とBPRは同じものか

BPRは、日本語で「業務プロセス改革」と呼ばれることが多いですが、似たような言葉に「業務改善」があります。業務改善は「業務フローの一部を改善する」ことを指しますが、BPRは「業務フローそのものを根本的に見直す取り組み」であるという点で大きな違いがあります。

業務改善が業務フローの一部のみを対象とするのに対し、BPRは業務フローそのものを根本的に再構築することが求められます。また、業務改善は小さな範囲から徐々に見直しを行うため時間がかかるのに対し、BPRは全体的に短期間で改善を図ることが一般的です。

そのため、BPRはより短期的に効果を得る取り組みと考えられ、経営トップ主導で一気にやってしまおうとするケースが非常に多いといわれます。これに対して、業務改善は経営トップだけではなく、現場主導のケースも多く、少しずつ改善を積み上げていきますので時間がかかるといわれます。

BPRがその組織全体を対象として、その組織の本来の目的を達成しようとするのに対し、業務改善はある特定の業務フローや特定の組織・チームを対象に、業務効率化、生産性の向上などを目指します。

プラカルは、「業務改善」のために利用することを想定したサービスで、その本質は、組織やチームでの「コラボレーション(協働)」を強力に支援するというところにあります。プラカルはチームコラボレーションプラットフォームであり、機能的にはタスク・スケジュール管理、これと連携するOKR目標管理、アイデアを蓄積するタスクごとノート、ファイル共有、2段階のお知らせ通知などを実装しています。プラカルによって、ある種の業務では、フローそのものをガラリと変えてしまうこともできますが、BPRのような「業務プロセス改革」を目指しているわけではありません。

DXとBPRは同じものか

プラカルというサービスを開発した背景には、デジタルテクノロジーの進化があります。すでに人々の生活にはスマートフォンが欠かせないなど、デジタルの進化は社会に大きな変化をもたらしています。最近では、「ChatGPT」に代表される生成AI(人工知能)が大きな話題となり、これまで以上にデジタルテクノロジーが私たちの生活や仕事を変えてしまう予感があります。

こうしたデジタルの進化に伴い、特に、企業や公的機関などの組織を大変革するものとして注目を集めているのがデジタルトランスフォーメーション(DX)です。DXという言葉は、2004年にスウェーデンのウメオ大学のエリック・ストルターマン教授が提唱したとされています。

DXとBPRは、どちらも企業などの組織を根本から変える「変革」であるという点で同じように見えます。さらに、どちらも大学教授が提唱しているという点が同じです。端的に言えば、DXもBPRも最終的に目指しているところは同じだろうと考えられます。

BPRが、「業務プロセス改革の視点」から業務フローや情報システムを再構築するのに対し、DXは最新のデジタル技術を活用して「ビジネスモデルや組織そのものを変革」することを目指します。このように、BPRとDXは改革する対象が異なります。ビジネスモデルを変革するDXに対し、BPRは業務プロセスの改革を指すという点が大きく異なります。

ただし、既存の業務プロセスを維持したままのDXでは抜本的な変革を行うことができないため、DXを進める一環として、BPRによる業務プロセスの変革が求められています。

時代背景もありますが、BPRを実現するために用いられた手法は、前述の業務システム基盤であるERPや、シェアードサービス、アウトソーシングといった新しいビジネスでした。それに対し、DXを実現するために用いられている手法は、スマートフォンのアプリや、クラウドサービス、AI(人工知能)、ソーシャル技術といった新しいデジタルテクノロジーです。

DXにはデジタルツールが不可欠

別コラム「DX推進によく使われるデジタルツール」で述べたように、DX推進に役立つデジタルツールはたくさんあります。さまざまなITベンダーがDXのためのツール導入を宣伝しています。ただし、間違えてはいけないのが、ツールを導入することイコール、DXの実現というわけではないということです。デジタルツールを導入することは、極論すれば単なる「デジタル化」にすぎません。DXは、「デジタルを活用した変革」です。デジタルツールを導入し、適正化されるプロセスや新たなビジネスモデルの創出を生み出し、社会に新しい価値を提供することがデジタルトランスフォーメーション(DX)です。

では、プラカルはどうでしょうか。

プラカルの開発チームは、かなりの数のデジタルツールを使うことでリモートワークという新しい就業環境を乗り切ってきました。しかしこれは、BPRやDXが目指す「組織の改革」のためではなく、どちらかといえば「業務改善」を目的としています。

プラカルのサービスは、特定の業務フローや特定の組織・チームを対象に、業務効率化、生産性の向上などを支援します。そして、現場主導で、少しずつ改善を積み上げるというタイプのツールとしてご利用いただくのが最適だと考えています。

この記事の執筆者
データ・アプリケーション
Placulマーケティングチーム
経歴・実績
株式会社データ・アプリケーションは、日本を代表するEDIソフトウェアメーカーです。設立は1982年、以来EDIのリーディングカンパニーとして、企業間の取引を円滑に効率化するソリューションを提供しています。1991年からは日本の標準EDIの開発やSCM普及にも携わっており、日本のEDI/SCM発展に寄与してきました。現在は、EDI/SCM分野のみならず、企業が所有していデータの活用についてもビジネススコープを広げています。ハブとなるデータ基盤提供を始めとして、さまざまな角度から幅広く研究・分析を行っており、その提言を通じて企業のDX推進を後押ししています。

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