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「働き方改革」とリモートワーク/バイブリッドワーク

働き⽅改⾰

2024年07月22日

「働き方改革」の目指すもの

プラカルが誕生した背景には、2020年の新型コロナウィルスの感染拡大に伴うリモートワーク(テレワーク)の急激な普及がありました。多くの組織にとってのリモートワークは、普及したというより、仕事を止めないために普及せざるを得なかったというのが正しいかもしれません。

プラカルは、「リモートワーク」またはオフィス勤務とリモートワークが混在する「ハイブリッドワーク」において、それ以前のオフィス勤務中心の仕事環境のように、タスクチームが一緒に働きながら、その中で個々人が成長できることを目指しています。

実は、2020年のコロナ禍以前に、既に日本政府はリモートワーク(テレワーク)に代表される「柔軟な働き方がしやすい環境整備」実現のための法整備と予算措置を行っています。これは、いわゆる「働き方改革」と呼ばれる労働政策の一部です。「働き方改革」法案は、第4次安倍内閣時の2018年に国会に提出され可決し、翌2019年4月から順次施行されています。新型コロナウィルスの感染拡大に伴う緊急事態宣言のちょうど1年前のことでした。

厚生労働省が公開している『「働き方改革」の実現に向けて』というサイト[1]によれば、この改革が目指すものは以下の内容だそうです。

我が国は、「少子高齢化に伴う生産年齢人口の減少」「育児や介護との両立など、働く方のニーズの多様化」などの状況に直面しています。

こうした中、投資やイノベーションによる生産性向上とともに、就業機会の拡大や意欲・能力を存分に発揮できる環境を作ることが重要な課題になっています。

「働き方改革」は、この課題の解決のため、働く方の置かれた個々の事情に応じ、多様な働き方を選択できる社会を実現し、働く方一人ひとりがより良い将来の展望を持てるようにすることを目指しています。

なお、このコラムでは、テレワークとリモートワークという2つの言葉を同義語として扱っています。「テレワーク」はテレワークの普及をめざす一般社団法人日本テレワーク協会が掲げた言葉で、政府や自治体の施策ではこちらが表記されています。一方、企業では「リモートワーク」と表記されるケースが多いため、できるだけこちらの言葉を使うようにしています。

政府の主要な取り組み

「働き方改革」は、政府主導による国全体の取り組みであり、企業や働く人々、そして社会全体の今後に関わる重大なチャレンジであると言えるでしょう。具体的には、以前より存在していた労働関連の法律にさまざまな改正を加え、日本の労働環境の課題を解決しようとしています。

前述の厚生労働省サイトや、首相官邸の『働き方改革の実現』特集サイト[2]には、かなりの料の関連資料が公開されており、この改革が影響する範囲の幅広さを知ることができます。このコラムでは、各法律改正に触れることはしませんが、この改革で政府が取り組んでいることについてザっと眺めてみることにします。

■長時間労働削減に向けた取り組み

諸外国と比べて日本の労働時間が長いことはよく知られています。さらに休暇の取りにくさも世界トップクラスでしょう。長時間労働の削減は喫緊の課題です。これに取り組むため、「働き方の見直し」に向けた企業への働きかけや、長時間労働が疑われる事業場に対する監督指導の徹底等を行っています。

■雇用形態にかかわらない公正な待遇の確保

正規雇用労働者と非正規雇用労働者の間の不合理な待遇差の解消の取組を通じて、どのような雇用形態を選択しても納得が得られる処遇を受けられ、多様な働き方を自由に選択できるようにします。待遇差が最も顕著に現れるのが賃金であるため、「同一労働同一賃金」が掲げられています。

■柔軟な働き方がしやすい環境整備

『柔軟な働き方』とは、従業員のニーズに合わせて労働時間や勤務場所を自由に選択できる働き方のことを指し、リモートワークやフレックスタイム制度などが該当します。また、従業員の副業・兼業などを認めることも『柔軟な働き方』に該当します。労働者側にとっては、従来のような職場での就労よりも自律的な時間管理能力が求められることになります。

■ダイバーシティ推進のための取り組み

「ダイバーシティ」は「多様性」を意味しており、違いを受け入れ、企業の成長に活かすという考え方です。日本企業はかつて年功序列や終身雇用を軸に、男性中心社会でした。女性、外国人、障がい者といったマイノリティと呼ばれる人の雇用や、高齢者、子育て・介護世帯の雇用などを推進するものです。

■賃金引き上げと労働生産性向上の取り組み

最低賃金引上げに向けた中小企業・小規模事業者への生産性向上等の支援を行っています。最低賃金引上げの影響が大きい業種(生活衛生業・飲食料品小売業など)に対し、最低賃金制度等の周知や収益力の向上に関する講演を行うとともに、専門家による個別相談を行っています。

■再就職支援と人材育成の取り組み

従来の日本の企業では新卒一括採用と終身雇用が一般的であったため、再就職の際の労働市場が未成熟でした。欧米諸国では転職はキャリアアップの手段として好意的な評価がされます。再就職支援や人材育成の仕組みも充実させる取り組みを実施しています。

■ハラスメント防止対策

就労環境で起こるハラスメントには、上席者が部下に対して嫌がらせをするパワー・ハラスメント(パワハラ)があります。これ以外にもセクシュアル・ハラスメント(セクハラ)やマタニティ・ハラスメント(マタハラ)も大きな問題です。これまで法的な責任が不明確であったパワハラ行為について、事業主による対策の義務化が定められています。

テレワーク普及促進関連事業

冒頭で述べた通り、働き方改革の「柔軟な働き方がしやすい環境整備」の代表的な対象がリモートワークです。プラカルをご利用いただく前提環境は、まさにこのリモートワーク、または、オフィス勤務とリモートワークが混在する「ハイブリッドワーク」です。

新型コロナウィルスの感染症法上の位置付けが2023年5月8日に、それまでの「2類」から季節性インフルエンザと同じ「5類」に移行しました。帝国データバンクが2023年4月24日に発表した『新型コロナ「5類」移行時の働き方の変化に関する実態調査』[3]では、回答のあった1,1428社の4割が5類移行に伴い働き方をコロナ前に戻すと答えました。一方、コロナ前と異なる働き方を続けると答えた企業もほぼ同数に上り、特に従業員数が1,000人超の企業では5割を超えたとなっています。

パンデミックがキッカケとなり、リモートワークまたはハイブリッドワークをやってみた結果、「もとに戻そう」という組織と、「新しい働き方でまったく問題ない」という組織が半々であるというのが現状だと考えられます。

リモートワークは、ICT(情報通信技術)を活用し、時間や場所を有効に活用できる柔軟な働き方です。「働き方改革」では、企業等に雇用される労働者が行うリモートワークについて、適正な労務管理下における良質なリモートワークの普及促進のための施策を行っています。

その施策は「テレワーク普及促進関連事業」と呼ばれ、厚生労働省は特設ページ[4]を開設しています。以下ではその概要を眺めてみることにします。

■テレワーク総合ポータルサイトの開設

厚生労働省と総務省の連携により、リモートワークに関連する情報を一元化して、リモートワーク導入を検討する企業やリモートワークに関心のある方に、さまざまな情報を提供するため、「テレワーク総合ポータルサイト」[5]を開設しています。この「ポータルサイト」を通して、リモートワークの導入・活用に向けた一層の支援を行います。

主な掲載情報としては、リモートワーク全般に関する情報、相談窓口、助成金などの導入にあたって利用できる制度、関連する資料、セミナーやイベント情報、企業の導入事例紹介です。

■リモートワーク導入のためのガイドラインを公開

リモートワークにおける適切な労務管理の実施は、リモートワークの普及の前提となる重要な要素です。公開されている『テレワークの適切な導入及び実施の推進のためのガイドライン』[6]では、労働基準関係法令の適用に関する留意点など、リモートワークにおける労務管理の留意点を示しています。

■テレワークモデル就業規則の公開

リモートワークを円滑に実施するためには、使用者は労使で協議して策定したリモートワークのルールを就業規則に定め、労働者に適切に周知することが望ましいです。策定時に活用できる『テレワークモデル就業規則』[7]を公開しています。

■助成金や相談センターの設置、セミナー開催など

良質なリモートワークを制度として導入し、実施することにより、労働者の人材確保や雇用管理改善等の観点から効果をあげた中小企業事業主に対し支給する『人材確保等支援助成金(テレワークコース)』[8]があります。これによって、リモートワーク用端末(PC、タブレット、スマートフォン)のレンタル・リース費用が国によって助成されます。

また、東京都内に設置されたテレワーク相談センター[9]において、リモートワークの導入・実施時の労務管理や情報通信技術(ICT)に関する課題等についての質問に応じています。また、専門的知識を有するテレワークマネージャーが、企業等からの要望に応じ、具体的な導入支援を行うコンサルティングを実施しています。

そして、リモートワーク普及を図るためのシンポジウム、リモートワーク実施時の労務管理上の留意点やリモートワーク実施企業による体験談等を内容としたセミナーも開催されています。セミナーでは、リモートワークを導入するに当たって、必要な労務管理、ICTにおける留意点、リモートワークの活用方法、 導入企業の事例等を説明します。


[1] https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000148322.html
[2] https://www.kantei.go.jp/jp/headline/ichiokusoukatsuyaku/hatarakikata.html
[3] https://www.tdb.co.jp/report/watching/press/p230408.html
[4] https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/shigoto/telework.html
[5] https://telework.mhlw.go.jp/
[6] https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/shigoto/guideline.html
[7] https://www.mhlw.go.jp/content/11911500/001084303.pdf
[8] https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/telework_zyosei_R3.html
[9] https://telework.mhlw.go.jp/info/map/

この記事の執筆者
データ・アプリケーション
Placulマーケティングチーム
経歴・実績
株式会社データ・アプリケーションは、日本を代表するEDIソフトウェアメーカーです。設立は1982年、以来EDIのリーディングカンパニーとして、企業間の取引を円滑に効率化するソリューションを提供しています。1991年からは日本の標準EDIの開発やSCM普及にも携わっており、日本のEDI/SCM発展に寄与してきました。現在は、EDI/SCM分野のみならず、企業が所有していデータの活用についてもビジネススコープを広げています。ハブとなるデータ基盤提供を始めとして、さまざまな角度から幅広く研究・分析を行っており、その提言を通じて企業のDX推進を後押ししています。

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