2024年07月16日
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プラカルは、他のチームコラボレーション(協働)ツールと異なり、ユーザーの皆さんの「個人の成長促進」を設計のベースにしています。そのため、日常業務のタスク管理やプロジェクト管理をしつつ、常に目的や個人目標、チーム目標を忘れないための機能を入れ込んでいます。
世の中に、目的・目標を管理する手法やフレームワークはいくつか存在しますが、プラカルで実装しているのはOKRです。OKRは、Objectives and Key Resultsの略。OKRの標準的な日本語訳はないため、日本人も「オーケーアール」と呼んでいます。Objectivesは「目標」「達成目標」、Key Resultsは「主要な成果」「成果指標」あたりが日本語訳だとするなら、OKRは「目標と、その達成のための主要な成果」という意味になるでしょう。
目的・目標の管理は、従業員がどの程度組織に貢献したかというパフォーマンス管理に使われます。OKRがそのフレームワークだということは、KPIと呼ばれる業績評価指標にも似ています。KPIは、Key Performance Indicatorsの略。標準的な日本語訳としては、「重要業績評価指標」。OKRと同じく目的・目標管理にも使われています。
プラカルが「個人の成長促進」のためにKPIなどの他の目標管理手法ではなく、OKRを採用する理由を知るには、管理手法の特徴を押さえておく必要があります。
OKRが誕生したのはまだ小さな会社だった1970年代のインテルであり、その後の同社人材の急成長を支える要因のひとつでした。Googleがまだベンチャー企業だった2000年代はじめにOKRが導入され、その後、同社が世界有数の巨大企業になるまでの著しい成長を支えたことも知られています。
目標管理に用いられるOKRですが、ほかの目標管理手法とは少し違うということが想像できます。そこで、同じく目標管理の手法である「KPI」と簡単な比較を試みます。2つの手法の主な特徴をおさえることで、なぜプラカルでOKRを採用しているかが見えてきます。
■言葉の意味を比較
● OKR:目標と、その達成のための主要な成果
● KPI:主要業績成果指標
■目的を比較
● OKR:何を目指し、何を成し遂げたいのか?の明確化が目的
● KPI:最終目標達成のプロセスで、何を達成する必要があるか?の定義が目的
■理想の達成率を比較
● OKR:60~70%
● KPI:100%
上記の特徴をふまえて、OKRとKPIが同じ目標管理に対して、どういったことに役立つかを、どういう導入メリットがあるかを列挙してみましょう。
■OKR導入のメリット
● 組織やチーム全体で進むべき方向性を共有しやすい
● 業務内容と組織(チーム)目標を紐付けやすい
● 失敗を恐れずチャレンジできる文化の醸成ができる
■KPI導入のメリット
● 進捗の測定やその管理がしやすい
● 顧客満足等の定量的計測が難しいものを定量化できる
● 業績や現状のモニタリングがしやすい
上記のKPI導入のメリットを見ると、これは「組織的管理」に非常に向いていることが分かります。一方、プラカルが目指すのは「自律的管理」。個々人の「自律・成長」と、チームコラボレーションを通じたそれらの加速です。OKRでは、チームの方向性共有や、個々の業務とチーム目標の紐づけがしやすく、成長のためのチャレンジを文化として根付かせることもできそうです。そのため、OKRを採用したのです。
同じ目標管理の手法でありながら、OKRとKPIは多くの点で異なっています。プラカルがOKRを採用したのは、OKRがチーム目標の明確化と、チーム・個人の結束力向上に効果を発揮するからです。
実は、OKRの目的は目標の達成ではありません。OKRは挑戦しがいのある目標にチーム全体・組織全体でチャレンジすることによって、個人やチームのスキルアップやコミュニケーション活性化を図るものです。理想の目標達成率が60~70%なのは、達成難易度が高い野心的な目標を立てるためであり、達成率が100%となる目標は難易度が低いとみなされ、OKRに不適切とされています。
まず、簡単にOKR(Objectives and Key Results)について解説します。
OKRはその名の通り、O(Objectives)とKR(Key Results)の2つのパートから成り立っており、Oは「組織が目指す目標」、KRは「目標達成のための主要な成果」です。通常、1つのOに対して、3〜5つのKRが設定されます。
OKRでは、はじめに企業全体の目標と成果指標を設定し、次に企業の目標達成に向けた部署単位での目標と成果指標を設定。さらにチーム、個人と徐々に細分化させて目標と成果指標を立て、最終的に従業員一人ひとりと企業全体の目標がリンクする構造を構築します。
先述の比較の通り、OKRとKPIはそれぞれ用途が異なります。ただし、この2つの手法は併用できます。併用する場合は、OKRのKRがどの程度達成できているかを確認するためにKPIを設定する、といった方法が考えられます。
ただし、OKR、KPIの導入時は、目的ごとの使いわけが重要です。企業単位で大きな目標達成を目指す場合は、OKRが適しています。一方、プロジェクトの目的達成に向けた進捗状況管理が目的であれば、KPIが適している場合もあるでしょう。
OKRとKPIを併用して活用する例を、AIチャットボットツールの開発・販売事業を行う企業を想定して考えてみます。
「会社として目指すポジション、何を成し遂げたいか?」をOKRで定義する。達成度が60〜70%となる目標を設定。目標は4半期ごとに見直しましょう。
■設定例
● Objectives
○ 業界内でベスト3に挙げられる企業になる
● Key Results
○ 自社を含めた競合会社のなかで売り上げ、契約数でベスト3となる
○ 顧客満足度でNO.1を獲得する
○ 宣伝効果を高めるために広告費を前年比30%アップさせる
企業の目的達成に向けて、各チームが目指すべき目標をOKRで定義します。達成度や見直しの期間はSTEP1と同様です。
■設定例
● 開発チームのObjectives
○ 自社製品に寄せられているネガティブイメージを解消する
● 開発チームのKey Results
○ チャットボットでの完結率を向上し、人的リソースでの対応を90%削減する
○ 自社AIの学習機能を競合A社のボットと同水準までアップさせる
○ 中国語、韓国語への言語対応する
● 広報チームのObjectives
○ 今まで以上に幅広い層の、自社及び自社製品の知名度をアップさせる
● 広報チームのKey Results
○ 大手鉄道会社電車内のデジタルサイネージへ広告出稿する
○ 大手検索エンジンで自社製品の関連ビッグワードで上位3位までの検索結果を獲得する
○ 20媒体以上のWebメディアに自社サービス記事を掲載する
個人やチームの活性化だけでなく、会社が成長し続けるために、必要であればKPIを定めます。今回はKey Resultsのうち「自社を含めた競合会社のなかで売り上げ、契約数でベスト3となる」に着目します。達成率100%を目標に、年に1回見直しましょう。
■設定例
● KPI
○ 新規顧客の獲得数月間100件達成
○ 他社への乗り換えを5%に押さえる など
新規顧客の獲得数などに関するKPIは、営業チームなど、成果がそのまま数値に直結する部門で目標に掲げましょう。
OKRでは、達成困難な高難易度な目標設定が推奨されています。「達成率60〜70%程度の目標を追いかけて、本当に企業が成長できるのか?」といった懸念がある場合は、KPIもあわせて取り入れて、OKRとは別の目標を設定して100%の達成を目指すという方法もあります。
同じ目的管理の手法でもそれぞれ使いどころや得られる効果が異なるので、意図的な使いわけが重要です。
データ・アプリケーション Placulマーケティングチーム |
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経歴・実績 株式会社データ・アプリケーションは、日本を代表するEDIソフトウェアメーカーです。設立は1982年、以来EDIのリーディングカンパニーとして、企業間の取引を円滑に効率化するソリューションを提供しています。1991年からは日本の標準EDIの開発やSCM普及にも携わっており、日本のEDI/SCM発展に寄与してきました。現在は、EDI/SCM分野のみならず、企業が所有していデータの活用についてもビジネススコープを広げています。ハブとなるデータ基盤提供を始めとして、さまざまな角度から幅広く研究・分析を行っており、その提言を通じて企業のDX推進を後押ししています。 |