2024年07月15日
プラカルというサービスを開発するキッカケとなったのは、2020年の新型コロナウィルスの感染拡大に伴うリモートワークの急激な普及です。多くの組織がリモートワーク環境下で、たいへん多くの課題に直面しましたが、それは弊社も例外ではありません。
2020年のコロナ禍以前から、世の中にはビデオ会議サービスはありましたし、チャットの仕組みもありました。しかし、皆が普通に「Zoom」や「Microsoft Teams」、「Google Meet」などを利用し始めたのは2020年以降のことです。リモートワーク環境下で最初に困ったのが「会議をどうしようか」ということ。この課題を解決するひとつの方法として、特別な装置やWebブラウザー以外のソフトウェアを必要としないZoomなどの利用が始まったのです。
新型コロナウィルスの感染症法上の位置付けが2023年5月8日に、それまでの「2類」から季節性インフルエンザと同じ「5類」に移行しました。帝国データバンクが2023年4月24日に発表した『新型コロナ「5類」移行時の働き方の変化に関する実態調査』[1]では、回答のあった1,1428社の4割が5類移行に伴い働き方をコロナ前に戻すと答えました。一方、コロナ前と異なる働き方を続けると答えた企業もほぼ同数に上り、特に従業員数が1,000人超の企業では5割を超えたとなっています。
実は、新型コロナが「2類」であったときから、リモートワーク実施率には組織の規模による差がありました。いくつか調査資料はあるのですが、まずは公的機関の代表として、公益財団法人 日本生産性本部[2]の調査を見てみましょう。日本生産性本部は、2023年1月27日、新型コロナウィルス感染症が組織で働く人の意識に及ぼす影響の継続調査(第12回「働く人の意識調査」)結果を取りまとめ、公表しました[3]。
この調査では、従業員数が100名以下、101~1,000名以下、1,001名以上の規模別にリモートワーク実施率をまとめており、最も大規模な1,001名以上の組織では、リモートワーク(テレワーク)実施率が3割以上で定着している様子が分かります。
同様の調査は、民間企業である株式会社パーソル総合研究所[4]も実施しています。パーソル総研が、2022年8月10日に発表した『新型コロナウィルス感染症の第7波感染拡大下におけるテレワークの実態』[5]での2万人規模の調査によれば、1,001名以上の組織のリモートワーク実施率は3割台であるものの、従業員数が1万名を超える大企業では4割以上で定着しそうとのことです。(下図参照)
経営者から見たリモートワークの労務上の課題
リモートワークの突然の導入により多くの課題が発生しました。それらの課題や悩みは、経営者から見たものと、従業員(働く人)から見たものがあります。本コラムは主に「働く人」の課題や悩みに焦点を当てますが、その前に、経営者目線での労務上の課題を眺めてみましょう。経営者から見ると以下の5つが主な課題となります。
■情報セキュリティとプライバシー保護
リモートワークでは、個人情報や機密情報が自宅やパブリックな場所で扱われるため、情報漏えいのリスクが高まります。適切なセキュリティ対策を講じる必要があります。
■労働時間とオーバーワーク
自宅での仕事では、通勤時間がなくなるため、働きすぎる傾向があります。労働時間の管理が重要であり、労働基準法に基づいた適切な労働時間を確保する必要があります。
■コミュニケーションとチームワーク
リモートワークでは、直接のコミュニケーションが制限されるため、チームとの協力やコラボレーションが難しくなる場合があります。コミュニケーションツールやオンライン会議を活用し、円滑なコミュニケーションを確保する必要があります。
■労働環境の整備
自宅でのリモートワークでは、適切なデスクや椅子、照明、エアコンなどの労働環境を整える必要があります。労働災害の予防や健康促進のために、適切な環境整備が求められます。
■働き方と労働条件の確立
リモートワークにおける働き方や労働条件を明確に定める必要があります。業務内容、勤務時間、休憩時間、報酬、労働条件などについて、雇用契約や労働規則に基づいて明確に合意する必要があります。
経営者目線での5つの課題をザっと眺めましたので、次は「働く人」の課題や悩みを掘り下げましょう。そのためまずは、働く人の環境変化、つまり、日常的なリモートワークが始まったことで、組織がどのような施策を講じたかを知る必要があります。
前述したパーソル総研による『新型コロナウィルス感染症の第7波感染拡大下におけるテレワークの実態』では、リモートワーク普及にあたって行われた施策に関する調査があります。2020年の緊急事態宣言から2022年までの2年間で、リモートワークのために組織がなにをやってきたかが下図で分かります。
リモートワーク関連施策でもっとも行われているのは「遠隔会議システムの導入・利用促進」、次いで「ビジネスチャットツールの導入・利用促進」、つまりZoomやMicrosoft Teamsの利用です。それ以外も、全体的にオンラインITツール導入が多いのが見て取れます。
こうしたリモートワーク施策が実行され、働く環境が変化することで、新たな課題や悩みが発生しているのも事実です。前述した日本生産性本部による、2023年1月27日公表、第12回「働く人の意識調査」には、リモートワークの導入によって、どういった課題が認識されるようになったかについての調査結果報告が掲載されています。
課題認識は大きく2つのテーマで整理されており、最初がリモートワーク実施に関連する全般的な課題や悩み、次がリモートワーク下での労務上の課題や悩みとなっています。
■リモートワーク全般的な課題・悩みのランキング
リモートワークの労務管理上の課題・悩みのランキング
上記に挙げられたリモートワークの課題や労務上の課題・悩みは、組織が「リモートワーク施策」を導入し、実施してもなお残っているものです。例えば、どの組織も打合せのためにWeb会議を導入しましたが、リモートワーク全般の課題・悩みの4番目には「Web会議などのリモートワーク用ツールの使い勝手改善」がランクインしています。
プラカルは、リモートワークまたはハイブリッドワークで働くチームコラボレーションプラットフォームです。職種を問わずリモートワーク利用率が100%の弊社が直面したチームコラボレーションの課題。その課題解決のために開発したプラットフォームです。
もちろん、すべての課題を解決できる訳ではありませんが、従来のITツール導入では少し困難だと思われる課題解決にも焦点を当てています。
■リモートワーク環境における従業員の自律と成長促進
リモートワークであっても、オフィス勤務と同じように上司・同僚との連絡・意思疎通を適切に行えるような仕組みがあると理想的です。各個人が自律し、成長している様子が可視化できると上司や先輩もより良い指導ができそうです。
■さまざまな支援ツールからの大量の通知の処理
リモートワークにより、それまで使ってこなかったWeb会議などのITツールの導入が急増しました。その結果、ITツールからの通知やメッセージが急増し、個々人が優先順付けに時間を割くようになりました。ここが自動化されると生産性も大きく改善しそうです。
■個人PCに眠るノウハウやアイデアの活用
オフィス勤務では、隣に座るチームメイトが持つノウハウやアイデアについて日常的に知る機会がありましたが、リモートワークではその機会が大きく減少しました。各個人のアイデアやノウハウを書き留める場所とそれを可視化する機能があると、場所を問わずにどこでも面白い仕事ができそうです。
新型コロナ感染症の拡大によるリモートワークで分かったことは、思っていたより「職場に行かないとできないこと」が個人と会社にとって重要な内容だったということです。プラカルはこういった課題を解決するために設計されたものですので、ぜひお試しください。
[1] https://www.tdb.co.jp/report/watching/press/p230408.html
[2] https://www.jpc-net.jp/
[3] https://www.jpc-net.jp/research/detail/006234.html
[4] https://rc.persol-group.co.jp/
[5] https://rc.persol-group.co.jp/news/202208101000.html
データ・アプリケーション Placulマーケティングチーム |
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経歴・実績 株式会社データ・アプリケーションは、日本を代表するEDIソフトウェアメーカーです。設立は1982年、以来EDIのリーディングカンパニーとして、企業間の取引を円滑に効率化するソリューションを提供しています。1991年からは日本の標準EDIの開発やSCM普及にも携わっており、日本のEDI/SCM発展に寄与してきました。現在は、EDI/SCM分野のみならず、企業が所有していデータの活用についてもビジネススコープを広げています。ハブとなるデータ基盤提供を始めとして、さまざまな角度から幅広く研究・分析を行っており、その提言を通じて企業のDX推進を後押ししています。 |